2017年04月22日

【あとがき】合わせ鏡の祟り

お梅は、さる大名家の奥づとめをする腰元だった。

紅梅のようなうす紅色の頬を持つ美しい娘だった。

そんなお梅が仕えるのは、側室毬の方。
その美貌で寵愛深く、権勢を誇っていたが
その栄華にもかげりが見えてきている。

寄る年波には勝てず、
日に日に衰えていく容色に神経を尖らせ、
ヒステリーを起こす毎日であった。

そんな毬の方の側に、若くて美しい娘が仕えている。

毎朝、御髪上げで鏡に向かう毬の方の後ろに、
お梅がうつっている。
二人の頬の色合いの違いでさえ目にするのが不愉快な
毬の方なのである。

ある日、事件はおきた。

いつものように、お梅は毬の方の御髪上げを勤めていた。
そんなお梅をいまいましげに見る毬の方。
髪の飾り物の華やかさは比べ物にならないが、
その髪自体の美しさ、つややかさまでも自分は見劣りがする。
それがいまいましい。
なんとかして、落ち度を見つけてこの娘を下がらせることは
できないものか。
毬の方はそんなことを考えていた。

その気持ちが現れたのだろうか。
鏡に映る毬の方の顔が、醜くゆがんだ。
まるでからくり鏡のように顔全体が横に伸び
しかも下に垂れ下がる。

毬の方の悲鳴が轟いた。

自分の顔が醜くなっている!
とっさに側にあった脇息を鏡に向かって投げつける毬の方。

鏡は見事に割れ、破片が四方に飛び散った。

運の悪いことに、悲鳴に驚いて立ち上がったお梅の喉元にも、
大きな破片がつきささる。
お梅は声をあげることもなく、絶命した。

それ以来、毬の方は鏡を見るたびに
その中に己の醜い姿を目にして悲鳴をあげるようになり、
ついには気が触れて死んでしまった。

割れた鏡は、お梅の呪いがかかった鏡として、
納戸の奥に封印されたという。

※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※

ピンク談

「だってぇ〜。毬の方があまりにもイジワルだからさ。
 ちょっと懲らしめてやろうと思ったのよね。
 お梅ちゃんはかわいそうなことをしちゃったわ。」

ラベル:九十九神
posted by オフィスコロミー at 12:00| Comment(0) | TrackBack(0) | あとがき | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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